ビリヤードタップのことって色んな人が色んなこと言ってて、何が正しいのかよくわからないですね。
信頼できる人たちの言葉を借りて、タップの性能のこと、わかりやすくまとめました。
引けるタップってこういうタップなんですね。
この記事の内容 1.はじめに 2.引けるタップはどんなタップ?|ビリヤードタップの性能考 3.まとめ |
1.はじめに
先日、「ビリヤードタップ【性能の違いと選び方】おすすめも紹介」の記事でこんなことを書きました。
【タップの硬さの違いとその影響】
硬いタップ | 柔らかいタップ | |
パワー | 大きい | 小さい |
スピン | のせにくい | のせやすい |
引き球 | 引きやすい | 引きにくい |
トビ | 大きい | 小さい |
打感 | 感じやすい | 感じにくい |
打音 | 高い | 低い |
ミスキュー | しやすい | しにくい |
【タップの弾力の違いとその影響】
同じ硬さのタップでも弾力があるほうが、 ・スピンがのりやすくなる ・トビが小さくなる ・ミスキューしにくくなる |
同じ柔らかさのタップでも弾力があるほうが、 ・パワーが大きくなる ・引き球が楽になる |
でも結論しか書いてなかったんですね。書ききれなかったんです。なのでこの記事でもっと詳しく説明します。
ここに書いていることはぬブロとかいう変な奴の私見ではなく、もっと信頼できる人たちの考えや感じ方をまとめたものです。
2.引けるタップはどんなタップ?|ビリヤードタップの性能考
(1) パワーがあるタップとは
パワーとは、手球を撞いた時に手球に伝わる推進力のことで、同じ力で手球を撞いた時、パワーがあるタップのほうが手球が長い距離走ります。
パワーがあるタップとは、硬くて反発力が強いタップ、球ばなれが良いタップです。
この点、そんなに異論はないと思うんですが、一応プロの言葉も借りようと思います。
下の動画の4:30あたりから湯山Pがタップの硬さと推進力のことを話していますが、「Sは推進力が小さい」と言っていますね。
ブレイクキューに硬くて球ばなれがはやい樹脂タップが装着されているのは、より強い力でラックを割るためですね。
なお、柔らかいタップは硬いタップよりパワーは劣りますが、同じ柔らかさでも、弾力があるタップのほうがパワーがあります。弾力とはタップがへこんでから手球を押し返す力です。へこんで終わりのタップより、へこんだ後に押し返すタップのほうがパワーが強いのは明らかですよね。押し返すわけですから。
(2) スピンをのせやすいタップとは
ここでいうスピンとはひねった時の横回転と上を撞いた時の押し回転のことです。引きの回転はまた話が変わってくるので、下で説明します。
スピンをのせやすいタップとは、柔らかいタップです。というよりも硬いタップはスピンをのせにくいと言ったほうが良いのかもしれません。
硬いタップは手球をすぐに弾き返してしまうのでスピンがかかりづらいですが、柔らかいタップは手球に接するとへこんで手球をより長い時間とらえているため、スピンをのせやすいということですね。
ただし、硬くても弾力があるタップはいったんへこんでから手球を押し返すまでの間は手球をつかんでいるため、スピンをのせやすいということになります。
この点に関しては、キャロムの堺敦康Pがこちらの記事で「食いつきが弱いタップだと端の撞点を撞いた時に手球の表面でツルっと滑るが、斬タップのように食いつくタップは手球をとらえるので、スピンのアクションがはやく出る」と言っています。
また、以下の動画の5:24あたりで湯山Pは「硬いだけのタップはスピンはのらないし、ミスキューもたしかにしやすい」と言っていますね。これも人それぞれ感じ方はあるんでしょうけど、こう思う人は多いんじゃないかなと思います。
(3) 引けるタップとは
「柔らかいタップで長いタッチで撞くほうがタップと手球の接触時間が長くなるのでよく引ける」というのが昔の定説だったと思います。僕もそう聞きましたし、実際そうやってとんでもなくキューを切らしている上級者はいました。
でも今は硬いタップのほうが「引きやすい」という考えが広まってきているようですね。
モーリタップの毛利さんはこちらのエッセイで「柔らかいタップでも長いストロークで上手く撞けばきれいに引けるが、タップを硬めのものに変えるだけで、すごく楽に引けるようになる。」と言っています。
菅原利幸Pはこちらの記事で「乾燥している時期は柔らかめのタップを使うが、湿度が高くなってドローショットが難しくなると、ラシャとの摩擦による回転ロスを避けるために硬いタップに変える。」と言っています。
上でも紹介したこの動画の9:00あたりから湯山Pは「引き球が苦手な人は反発力があるタップを使ったほうが引けるようになる」と言っていますね。
まとめると、柔らかいタップでは手球に伝わる推進力が弱く、手球が的球に届くまでに時間がかかるので、その間にラシャとの摩擦で引きの回転がほどけてしまうため引けない、硬いタップのほうがはやく的球に届くので、回転ロスが少なくよく引ける、ということですね。
柔らかいタップで引き球が上手な人は、回転ロスをさせないぐらい手球を早く的球に到達させることができる人=キュースピードがはやい人、だと思います。
2022/4/28 追記 ここでちょっと私見です。 最近、カムイブラックHや締めたBIZENなど、かなり硬めのタップを好んで使っています。 たしかにタイミングや撞点が合えば、かなり引けるのですが、逆にそこが合わないと、全然引けません。 撞点やタイミングがしっかりしている人なら、硬いタップを使えばかなり切れると思いますが、そこがかなりシビアになってくるので、硬いタップでは全然引けないなと思ったら、少し硬さを落とすか、硬くても弾力があるものを選ぶと良いと思います。 |
(4) トビが小さいタップとは
柔らかいタップのほうがトビが小さいと言われることが多いと思います。
菅原Pはこちらの記事でKAMUIについて語っていますが、「MよりもSのほうがトビが抑えられる」と言っていますが、これは柔らかいタップのほうが、手球を横方向に弾く力が小さくなるからだと思います。
また、大井Pはこちらの記事で斬タップについて「他のタップよりも食いつくので、トビが軽減されていると思う。」と言っていますが、これはただ硬いだけのタップではひねった時に手球を横に弾くためトビが大きくなるが、食いつくタップ=弾力があるタップはトビとは反対方向に手球を引き戻す力が働き、トビが軽減されるということだと思います。
ただ、タップの硬さとトビの関係については一概に言えない部分もあり、赤狩山Pはこちらの記事で「軽いコンディションのテーブルなら柔らかめのタップのほうがトビが出にくいが、重たいコンディションでは回転がかかり過ぎて、トビも出やすい」と言っています。
これはカーブのことを言っているようにも思いましたが、直接聞いたわけではないのでわかりません。
実際のところ、トビが出なければ良いかと言うとそんなこともなく、トビが出ないほうがカーブが早く出ると思うので、そこを考慮しないといけないという難しさはあると思います。
(5) 打感を感じやすいタップとは
硬いタップのほうが打感を感じやすいです。これはそんなに異論ないと思います。柔らかいタップは衝撃をタップが吸収してしまうので、手に伝わる感覚がぼやけますよね。硬い樹脂タップが付いているブレイクキューなんかはその逆です。
参考までに、湯山Pはこちらの動画の6:00あたりから、「タップを薄くして硬くしたほうが打感がぼけない」ということを言ってます。
(6) 打音が高いタップとは
硬いタップのほうが打音が高いです。これも異論ないかなと思います。樹脂タップは硬いですが、打音も高いです。
これは何もビリヤードのタップに限ったことではなく、柔らかいもので叩くより硬いもので叩いたほうが音が高くなるのは、誰もが感覚としてわかっていることだと思います。
(7) ミスキューしにくいタップとは
最後はミスキュー率です。
硬いタップのほうがミスキューしやすく、柔らかいタップのほうがしにくいです。これも感覚として持っている人は多いと思います。
よく「硬いタップは撞点がシビア」「柔らかいタップは撞点の許容範囲が広い」とか言われます。これは硬いタップは端っこを撞き過ぎるとミスキューするけど、柔らかいタップはぐにゃっとなるので、ミスキューしにくいということでしょうね。
上で載せた動画でも、湯山Pは「硬いだけのタップはミスキューしやすい」と言っていますし。
3.まとめ
いかがでしたか?
今まであやふやだった部分が少し明確になったのではないでしょうか。
ビリヤードをやっていると、色んなことを言う人がいるので惑わされることも多いと思います。親切心で教えてくれるだけなら良いのですが、それを押し付けてくる困った人もいるので、そういう時に自分を守るのは、しっかりとした基礎知識だと思います。
ただ、ここで紹介した内容も一部のプロの私見でしかないのかもしれないですし、「プロ」という普通ではない人たちの意見なので、私みたいな凡人が参考にすべきことではないのかもしれません。
この記事の内容をどう捉えるかはお任せしますが、よくわからない人が押し付けてくるあやしい意見よりは、信頼できる内容だと思います。
タップのことで悩むことがあったら、ぜひ参考にしてみてください。
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以上です。よかったらシェアしてください。