僕が去年まとめた「失敗しない革巻き手順」、たぶんこの方法を試して革巻きしてくれた人もいるはず。
そういう人やこれからこの手順を試す人のために、その後の気付きや注意点をまとめました。
この記事の内容 1.ぬブロ流革巻き手順で1年3ヶ月ぶりに革巻きしてみた 2.ぬブロ流革巻き|その後の気付きと注意点 3.まとめ |
1.ぬブロ流革巻き手順で1年3ヶ月ぶりに革巻きしてみた
普段ぬブロを読んでくれている方はご存知と思いますが、先日1年3ヶ月ぶりに、ぬブロ流手順にそって革巻きをしてみました。プレイキューとブレイクキューの2本。
最初にやったのが左のブレイクキュー、その数日後にやったのが右のプレイキュー。
写真は継ぎ目側ですが、自分的には上出来です。さすがにあとからやったプレイキューのほうが出来は良いですが、ブレイクキューも悪くないと思います。
初めての革巻きはめちゃくちゃな出来でしたが、あれこれ試行錯誤してまとめた手順、それを見ながら1年3ヶ月ぶりにやってみて、失敗せずにできました。
この手順の有効性と再現性の高さを実証できてなによりですが、久しぶりにやってみて、いくつか補足したいことがありますので、これから説明していきます。
2.ぬブロ流革巻き|その後の気付きと注意点
(1) 継ぎ目を目立たないようにするには
ビリヤードキューの革巻き、出来栄えを判断するポイントは色々あると思いますが、いちばんは継ぎ目だと思います。できるだけまっすぐに、できるだけ目立たないようにしたいですよね。
そのためにいちばん大事なのは革の採寸だと思いますが、そこについては失敗しない手順の記事にちゃんとまとめてますんで、そちらをご覧ください。
で、もう1つ、そこでちゃんと言葉で説明しなかったポイントがあります。
それは革のカットの仕方です。
下の絵を見てください。左側が革の断面の形状、右側がキューに巻いた時の継ぎ目の状態です。
キューは丸い棒ですから、そこに巻く革は革の表面(外周)のほうが革の裏面(内周)よりも長くないといけません。
①のように表面のほうが短いと継ぎ目が開いてしまうのはもちろん、②のように表と裏が同じ長さの場合もわずかに継ぎ目が開いてしまいます。③のように表面のほうが長くなければいけません。
グリップの太さや革の厚みは個体差がありますし、ボンドの水気で革が伸びたりするので、どれぐらい表面のほうが長いほうが良いとは言えないのですが、形状としては③のようにする必要があるということです。
ぬブロ手順では下の画像のように革の表面に型紙を貼って、それに合わせて革の縦のラインをカットするんですが、
表面のほうを長くするためには以下のようにカットします。
左のようにカッターの刃(両刃です)を垂直に立ててカットすると裏面のほうが長くなってしまうのでNGです。
右側のように刃を寝かせてカットしましょう。
実はぬブロ手順の記事でも、刃を寝かせてカットするよう書いていたんですが、理由はちゃんと書いていませんでした。こういう理由です。
型紙は革の裏面に貼ったほうが失敗が少ない?
ここまでがぬブロ流ですが、ずいぶん前に、以下のような理由で、型紙は革の裏面に貼ったほうが失敗が少ないとコメントいただきました。
いただいたコメント 厳密に言えば、革の厚み分だけ表面の方が裏面より幅が広くないといけないので、型紙をグリップの木にピッタリフィットさせていた場合、裏面にジャストの幅が表に来てしまい、幅が短くなってしまうことがある。 |
コメントくれたのはカスタムキュー関連の記事を書く際にFacebook投稿など色々参考にさせていただいたB&Gさんです。
お店で革巻きもやっていて、僕なんかより経験豊富な方の意見ですので間違いないですね。
これについて補足しますと、僕はグリップにぴったりフィットさせて型紙を採寸しているので、型紙のサイズは革の裏面(内周)のサイズということになります。
ですが厳密に言うと、革の表面(外周)のサイズはそれよりも幅が少し広くないといけないため、型紙ジャストのサイズでカットしてしまうと、グリップに巻いたときにさっき上で説明した②の図の状態になってしまうということです。
革の裏面はぴったりサイズが合っているのに、表面はちょっと足りないという状態です。
この点は実は僕も気付いてはいたので、
・伸縮性のある革を選ぶこと ・幅は1mmぐらい長めに切っておくこと |
という注意点を添えることで、ぬブロ手順でも対処できるようにしていたんですが、気付く人はちゃんと気付きますね。
正直なところ、僕のやり方とB&Gさんのやり方で生じる差はごく僅かなものなので、革の伸縮性でごまかせるレベルだとは思っていますが、厳密にいうと確かにおっしゃる通りです。
ちなみに革の裏面に型紙を貼って革をカットする場合は、刃の角度も以下のように変わりますのでご注意ください。
(2) その他の気付きや注意点
① 革の裏面に型紙を貼ったほうが良いその他の理由
上の続きですが、B&Gさんからは革の裏面に型紙を貼ったほうが良い理由として、以下の2点も挙げられていました。
・リザードなどの場合、コーティングが剥がれることがある ・カッターの刃が滑ったりしても、切れてさえいなければミスにならない |
1点目、リザード革など、表面がコーティングされている革は、テープを貼って剥がすときに、コーティングも剥がれてしまうことがあるそうです。
僕は表にテープを貼りますが、以下の通りテープを貼るのは切り捨てる部分(以下写真の型紙の外側の部分)なので問題ないとは思っているのですが、ずれたりすると確かにそのリスクはあるかなと思います。
2点目、これも革のカットに慣れていないと刃が滑って革の表面を傷つけちゃう可能性も確かにあると思います。
こうやって書いてみると、たしかに型紙は裏面に貼ったほうが良さそうですね。
② 慣れてくるとあまり伸びすぎる革は難しい
革巻きは採寸が難しく、ミスる可能性が高いです。
なので、ぬブロ手順では少しのズレなら拾ってくれるよう、伸縮性のある革を選ぶことをお勧めしているのですが、慣れてくると、あんまり伸びる革はかえって難しいです。
しかも革によってはボンドの水気を吸ってさらに伸びるので、余った分をカットしたら切りすぎたなんてことも起こります。それでもまた伸ばせばいいんですが、そんなことを繰り返していると、仕上がりが汚くなったり、そのうち取り返しがつかなくなったりします。
そもそも、せっかくきっちり採寸したのに、結局伸びちゃうんだったら採寸の意味ないですからね。
採寸に自信が持てるようになってきたら、伸びない革にチャレンジしてみましょう。
3.まとめ
参考になりましたか?
知ってる人からすれば、当たり前のことしか書いてないかもしれませんが、何かのヒントになれば幸いです。
僕なんかしょせん素人ですから、他にも色々改善点とかあると思います。
また誰かからアドバイスいただいたり、何か気付きがあったらまとめようと思います。
革巻きやってみたいなと思っている人は、ぜひぬブロ手順を参考にやってみてください。
以上です。よかったらシェアしてください。