ビリヤードシャフトのテーパーって何?
テーパーが違うと何が変わるの?
どんなテーパーのシャフトを選べばいいの?
そんな疑問を解決します。
この記事の内容 2.シャフトのテーパーの違いで何が変わる? 5.シャフトのテーパーを変更したいと思ったら |
シャフトを買うときに、テーパーの違いを意識していない人けっこういると思います。昔の僕がそうでした。
テーパーはシャフトの性能に大きな影響を与えます。
自分に合わないシャフトを買って後悔しないように、事前にこの記事を読んでテーパーについて理解しておきましょう。
1.ビリヤードシャフトのテーパーとは?【初心者向け】
テーパーとは英語で「taper」と書きますが、円錐状に先細りになっていることを意味します。
ビリヤードシャフトのテーパーとは、シャフトの先端から根元のジョイント部分まで、どのように太さが変化しているかを意味していますが、単純にシャフトの太さのことをテーパーと呼んでいる人もいます。
先端から根元まで均一に太くなっていくテーパーもあれば、根元付近で急激に太くなるものや、中間あたりから太くなるものなど色々あります。
ジョイント部分の太さはどのシャフトもほとんど変わらないので、テーパーの傾斜がどれぐらいきつくなるかは、先端部分の細さに依存します。
2.シャフトのテーパーの違いで何が変わる?
ここからプレデターの314-3、Z3、ヴァンテージを比較していきます。テーパーの比較をする上で、材質も構造も異なるREVOを入れてしまうと、いろいろ話がややこしくなるのでここでは除外します。
(1) プレデターシャフトのテーパーの違い
まずニューアートのカタログに載っているシャフトスペック表で説明しますが、これら3種のテーパーはこのようになっています。カタログをカメラで撮影したので、見づらくてすみません。
この五角形のグラフの見方ですが、上から時計回りに以下のようになっています。
・先角の長さ
・先角直径
・先端から15cm部分の直径
・先端から45cm部分の直径
・先端から72cm部分の直径
先角の直径以外は具体的な数値は記載されていないので、他との比較で見るしかありません。最後の先端から72cm部分の直径は全部同じなので比較しても意味はないですね。
まずは314-3とZ3を見てみると、テーパーの形状は同じですね。シャフト先端からジョイント部分に向かって一定の割合で太くなっていき、ジョイント付近で急激に太くなっています。
違うのは太さですね。314-3は先角径が12.75mmと平均的な太さなのに対し、Z3はわずか11.85mmしかありません。差は1mmもないじゃんと思うかもしれませんが、触ってみると結構違います。このZ3の細さは初めて触った人は驚くと思います。ジョイント部の太さは変わらないので、Z3のほうが急激に太くなっています。
次にヴァンテージです。こちらはシャフトの先端からジョイント部まで一定の割合で太くなっています。先角径もこの3本の中ではもっとも太く、12.9mmあります。
テーパー以外にも違いがあるんじゃないの? テーパーの違いとか言ってるけど、他にも違いがあるでしょ?って思うと思います。上のスペック表を見る限り、テーパー以外で違うのは以下の2点です。 ・先角の太さ 先角の太さもテーパーの一部だと思っているので、そこは問題ないと思うのですが、問題は先角の長さです。314-3が一番先角が長く、Z3が一番短いですね。先角が長いほうが打感が硬くなり、トビもパワーも大きくなりますが、これら3種の先角の長さの違いはわずかなので、ここでは考慮しないことにします。というかそうしないと話が進まない。。 ちなみに、先端中空とかカーボンコアとかシャフトの構造自体が違うと性能も当然変わりますが、プレデターのサイトを見る限り、これら3種のシャフトの構造は同じです。重さは当然違うと思いますが、それぞれどれぐらいの重さなのか記載されていないですし、そもそも個体差もあるので考慮しようがありません。 ということで、これから説明する性能の違いは、テーパーの違いによるものであるという前提で話を進めます。 |
(2) テーパーの違いによる性能の違い
それではテーパーの違いがどう性能に影響してくるのかを、プレデターが公開しているシャフトの比較表で見ていきます。プレデタージャパンのサイトのリンクを貼りたいんですが、僕のPCだとなぜか危険なサイト扱いになるので、気になる人はご自分で覗いてみてください。
① トビの少なさ
プレデターは「手球の精度」と言っていますが、これをトビの少なさと解釈します。ショットスピードが速い場合、遅い場合で異なる結果になっています。
ショットスピードが速い場合 | ショットスピードが遅い場合 | |
ヴァンテージ | 9点 | 7点 |
Z3 | 7点 | 9点 |
314-3 | 6点 | 6点 |
② 手球に与えるスピン量
これもショットスピードが速い場合、遅い場合で異なる結果になっています。
ショットスピードが速い場合 | ショットスピードが遅い場合 | |
ヴァンテージ | 9点 | 7点 |
Z3 | 7点 | 9点 |
314-3 | 7点 | 7点 |
①と②はだいたい同じですね。
③ パワー
プレデターは「エネルギー伝達効率」としていますが、これはいわゆるパワーのことだと思います。手球にどれだけ多くの力が伝わり、手球をどれだけ長く走らせられるかということですね。ここはショットスピードで分けられてはいません。
ヴァンテージ | 8点 |
Z3 | 5点 |
314-3 | 7点 |
④ シャフトの硬さ
これは言葉通りですね。パワーと全く同じ採点です。
ヴァンテージ | 8点 |
Z3 | 5点 |
314-3 | 7点 |
他にも「シャフトの剛性」という項目もありますが、硬さとの違いが不明なので割愛します。採点もほぼ同じですし。また「打感の感じやすさ」、「テーパーの加工精度」、「耐久性」という項目もありますが、手球の動きとはあまり関係なさそうなので割愛します。
(3) これらのデータから言えること
ここまで紹介したテーパーの違い、性能の違いは私見を一切含まないデータですが、それらから言えることを整理します。
・太いシャフトのほうがパワーがある ・太いシャフトのほうが打感が硬い |
太いほうがシャフトがしなりづらいでしょうから、打感が硬くパワーがある、ここまではまあそうだよねという感じですね。
わからないのがこのあとです。ここから色々と私見も入っていますので、そのつもりで読んでください。
ショットスピードが速い時 ・太いシャフトのほうがトビが少ない ・太いシャフトのほうがスピンが乗る ショットスピードが遅い時 ・細いシャフトのほうがトビが少ない ・細いシャフトのほうがスピンが乗る |
プレデターの性能比較では上記の通りになっていますが、
これ本当??
って思いませんか?
プレデターが「手球の精度」と言っているのを、「トビの少なさ」と勝手に解釈しているのが正しいという前提ですが、ショットスピードが速かろうが遅かろうが、細くて柔らかいシャフト、つまりZ3のほうがよくしなるので、トビが少なく、スピンが乗ると思っていたんですけどね。他にもそう思っている人多いんじゃないでしょうか?
実際、ビリヤードデイズのこちらの記事で原口Pもショットスピードが速くても遅くても、Z3が一番トビが少なく、スピンが乗ると言っています。プレデターは機械でテストしていると思いますが、ショットスピードが速い時のキューの動きとか力の入れ方が、なんか人間とちょっと違うとかですかねww
機械がやったテスト結果のほうが普通は信頼性が高いと思いつつ、ここだけはプレイヤーの感覚を信じたいなと思っています。
ということでぬブロ的に結論をまとめるとこうなります。
・太いシャフトのほうがパワーがある ・太いシャフトのほうが打感が硬い ・細いシャフトのほうがトビが少ない ・細いシャフトのほうがスピンが乗る |
トビとスピンのところに私見を入れてしまいましたので、異論がある人がいるかもしれませんが、あくまでも一個人の意見として受け止めてください。
3.各メーカーのシャフトのテーパーを比較
ニューアートのカタログには、他にも各メーカーの各シャフトのスペックが掲載されています。こちらの記事↓にアップしましたので、他のメーカーのシャフトが気になる方はご覧ください。
4.自分に合ったテーパーの選び方
ここまで説明してきた通りですが、以下をテーパー選びの参考にしてみてください。
ヴァンテージのような太めのテーパーがおすすめの人 ・ストロークにパワーがなくて悩んでいる人 |
Z3のような細めのテーパーがおすすめの人 ・ひねりを多用する人 |
314-3のようなバランスの良いテーパーがおすすめの人 ・上記のどちらとも言えない人 |
あと、自分の指の太さに合っていることも大事です。指が太い人は太めのテーパーだと指がひっかかって振りづらかったり、指が細い人だと細めのシャフトはブリッジがスカスカで撞点が安定しなかったりするので、そのへんは実際にシャフトを手に取って確認しましょう。
5.シャフトのテーパーを変更したいと思ったら
自分に合うと思ったテーパーのシャフトを買ってはみたものの、実際に使ってみるとなんかちょっと違うなと思うこともあると思います。そんな時はテーパー調整をするのもありだと思います。
(1) シャフトのテーパー調整をしてくれる店
やはりちゃんとしたお店に頼むのが安心です。テーパー調整をしてくれる店、ついでにニス落としをしてくれる店もこちらの記事にまとめましたので、お店選びの参考にしてください。
(2) シャフトのテーパー調整は自分でできる?
程度によると思います。表面のニス落とし程度なら、カッターの刃でシャカシャカ削ったり、紙ヤスリで削ったりで自分でできます。昔はみんなそうやってましたよね。ただ最近のシャフトはある程度ニスが落とされていますし、今はグローブを使う人も多いので、昔ほどニス落としの必要はないですよね。
問題はテーパーを変えてしまうぐらいに削る場合ですね。これも同じやり方でできなくはないと思いますが、手作業で全体をまんべんなく削るのは難しいので、やはりちゃんとしたリペアショップに頼むのが良いと思います。
6.まとめ
いかがでしたか?
この記事がシャフト選びの参考になれば幸いです。シャフトを買うときはテーパーの違いを意識して自分に合ったシャフトを選ぶようにすれば、きっと満足のいく買い物ができると思いますよ。
なお、テーパーだけでなく、先角の違いやシャフトの重さの重要性も理解しておくと、自分に合ったシャフト選びができると思いますよ。こちらの記事にまとめましたので、あわせて読んでみてください。
ハイテクシャフト、カーボンシャフトについてはこちらをどうぞ。
中古シャフトの購入を考えているならこちらもどうぞ。
他にも座やタップのアールの違いによって手球の動きは変わってきます。こちらの記事にまとめましたので、興味にある方はぜひ読んでみてください。
以上です。よかったらシェアしてください。