デザイン、価格ばかりに目がいきがちなビリヤードのカスタムキュー。
「デザインさえかっこよければ」
「こんなに安く手に入るなら」
カスタムキューの購入を考える時、性能なんてどうでもいいって思っていませんか?
カスタムキューの性能はとても大事です。
というわけで、カスタムキューのスペック、わかる範囲で調べました。
最初にお断りしておくと、今回調べられたカスタムキューのスペックってたいした内容ではありません。
ただこの記事が、忘れられがちなカスタムキューのスペックに目を向けるきっかけになればと思います。
せっかく買ったカスタムキューが、使ってみたらクソキューでした、なんてことにならないように。
この記事の内容 3.カスタムキュー83メーカーのスペック調べてみた -CDEF -GHJ -KLM -NOP -RST -T-Z ◎国産カスタムキュー(50音順 ) |
1.カスタムキューとは
George Balabushka 出典:ニューアート
カスタムキューと言うと、
・カスタムキュー職人が作るフルオーダーのキュー
・依頼人と製作者のこだわりが詰まった1本物のキュー
というイメージがあるかもしれませんが、定義はかなり曖昧です。
カスタムキューメーカーでも機械を用いて似たようなデザインのキューを比較的安価に大量生産しているところや、部品を外注して組み立てているだけとか、これってカスタムキュー?と言えるようなものもあったりします。
逆にMEZZのエクシードやアダムのムサシなど、プロダクトメーカーがオーダーを受けて製作した1本もののキューもあったりします。
という感じで定義は曖昧ですし、そこについて議論するつもりもありませんので、この記事ではカスタムキューメーカーが作るキューのことをすべてひっくるめてカスタムキューと呼ぶことにします。
2.カスタムキューは性能が大事?
Tad 出典:ニューアート
僕はこれまでカスタムキューって性能はそんなに大事じゃないんだと思っていました。
Tadとかリチャードブラックとか、トビがすごいとかじゃじゃ馬すぎて上手い人にしか扱えないとか言われるキューがありますね。
そういうキューでしかできない球があったり、打感や打音が良かったり、性能面を理由にじゃじゃ馬を使っている人もいるとは思いますが、ハイテクシャフト全盛の時代にわざわざそんな難しいキューを使うのってやっぱり、
・デザインが好きだから ・いつかはカスタムキューって憧れてたから |
そんな理由が多いんじゃないかと思います。カスタムキューって、一種のステータスですよね。
僕もカスタムキューはいつかは欲しいなとは思っていて、いつもビリヤードショップのサイトやヤフオクなんかを眺めていますが、価格は抜きにして、気にしていたのはほぼデザインだけです。性能は二の次。というかカスタムキューの性能なんてどうでも良いと思っていました。自分がそれに合わせるものだと思ってたし、最悪、シャフトを替えれば何とでもなるでしょと。
ですがこういう文章↓を読んでから、カスタムキューもデザインだけじゃなくて、性能が大事なんだなと今は思っています。
絶対読んで! |
上記はすべてBurl & Grain Custom Cuesさんのフェイスブック投稿です。タイトルは要約して適当につけてしまいましたが、キューの構造や木材の種類が性能にどう影響するのか、性能の高いキューを持つことがいかに大事なことか非常に詳しく説明されています。それぞれ長文で、難しい部分もありますが、とてもわかりやすく書かれていますので、興味がある人はぜひ読んでください。
すごくざっくり要約すると、
・構造、テーパー、木の種類などの違いでバットの硬さが変わる ・バットの硬さの違いでキューの性能(パワー、トビ、スピン、フィードバック(手に伝わる感覚))が変わる ・フィードバックの良いキューは、ショットタイミングのずれ等を教えてくれるので、上達を早める ・構造、テーパー、木材の組み合わせなどを工夫して、性能の偏りを最適化することが必要 ・バットのみ、シャフトのみではなく、バット+シャフト全体で最適化されたキューがベスト |
ということが書かれています。(僕の解釈が間違っていると嫌なので、ぜひ原文を読んでください。)
バットの性能って軽視されがちですが、シャフトの性能を引き出すのも、上達スピードを早めるのも、しっかりと作られたバットがあってこそなんですね。そしてもし見極めができるのであれば、バット+シャフト全体で最適化されたものを選べたら最高ですね。
と、ここまで読むと、デザインだけでカスタムキューを買うのってかなりリスクが高いって思えてきたんじゃないでしょうか。見た目だけがキレイな変なキューに手を出すとお金と時間の無駄遣いになりますね。
3.カスタムキュー83メーカーのスペック調べてみた
カスタムキューの性能を決める要素
上で書いたこととかぶりますが、キューの性能を決める要素には以下のようなものがありますね。
・タップ
・先角
・テーパー
・木材の種類
・木材のグレード
・構造
・重さ
・バランス
・ジョイント
・接着
・塗装
他にもまだあるとは思いますが、これら要素によって、パワー、トビの量、スピン量、フィードバックの量などが変わります。とても大事ですね。
この記事ではこれら要素のことを「スペック」と表現しますが、カスタムキューのスペックをわかる範囲で調べてみました。
この記事で調べた内容
スペックは中古カスタムキューの商品説明が親切にされているニューアート、スパイダーのサイトから調べましたが、調べられたスペックはこれだけ↓です。
・純正シャフトの重さ(社外品は除外) ・バットの重さ ・総重量 ・バランスポイント ・ジョイント ・ジョイントカラー |
はっきり言って、これだけの情報からキューの性能を予想することなど不可能だと思います。ただこの記事の目的はあくまで「カスタムキューの性能に目を向けるきっかけづくり」なので、そのつもりでご覧いただければ。
ちなみに、ジョイントとジョイントカラーの違いで打感も変わりますが、バランスにも大きく影響します。ステンレスカラーのほうが樹脂カラーよりも、またシャフトに金属インサートが入る14山、18山、ユニロックのほうがインサートがないラジアルや10山よりも前バランスになる傾向があります。ジョイント部分に金属のおもりが付いている感じですね。
18山パイロテッドジョイントとステンレスカラー 出典:ニューアート
ラジアルジョイントと樹脂カラー 出典:ニューアート
それではここからカスタムキューのスペックを紹介していきます。アメリカンカスタムキュー(アルファベット順)、国産カスタムキュー(50音順)の順で掲載しています。ここから下は数字がたくさん貼ってあるので、興味ない人からすれば退屈かもしれませんが、ところどころ面白いエピソードや有益な情報なんかも書いていますので、よろしかったら最後までお付き合いください。
AE(エーイー)
出典:ニューアート
重さ、バランスポイントの平均値
サンプル一覧
Ariel Carmeli(アリエル・カーメリ)
出典:ニューアート
キューの構造や性能に深い見識があるBurl & Grain Custom Cuesさんが高性能とおすすめしているのがこのアリエル・カーメリです。カーメリのキューは、
・剛性の高い構造でショット時のフィードバックが良い
・バットとの相性でシャフトを微調整しているため当たり外れがない
・ノーマルシャフトでもトビが少ない
という特徴があるそうです。バット+シャフトで性能が最適化されているんですね。その上、木目好きの僕からすると惚れ惚れするようなきれいな木目のキューが多いので、今とても気になっているメーカーです。興味がある人はBurl & Grain Custom Cuesのサイトをご覧ください。入荷や在庫の情報はフェイスブックにアップされます。
重さ、バランスポイントの平均値
下の一覧を見てもわかりませんが、カーメリのキューは基本的に太さ、重さ、ジョイントなどすべてオーダーに合わせて作るそうです。ただシャフトは全体的にかなり軽いですね。
サンプル一覧
Barenbrugge(バレンブルーギー)
出典:ニューアート
バレンブルーギーというと、バタフライデザインと超絶リングワークが特徴ですね。
出典:ニューアート
ちなみに、このあとバリー・ザンボッティのところでも書いていますが、バレンブルーギーはフォアアームにほとんどコアを入れないそうなので、そのせいで木材の寝かせに時間がかかり、年産本数も少ないのだと思います。
重さ、バランスポイントの平均値
サンプル一覧
Barnhart (バーンハート)
出典:ニューアート
重さ、バランスポイントの平均値
バーンハートはどれもかなり前バランスですが、意図的にそういうセッティングにしているのでしょうね。
サンプル一覧
Barry Szamboti(バリー・ザンボッティ)
出典:ニューアート
巨匠ガス・ザンボッティを父にもつのがバリー・ザンボッティです。
バリー・ザンボッティは父ガス・ザンボッティの伝統的な作り方を踏襲し、フォアアームにほとんど芯材を使わないそうですが、その場合、木材に反りや曲がりが出ないように十分に寝かす必要があるため、大変時間がかかるそうです。
ただ、芯材を入れると打感が硬くなり過ぎるとか、接着ミスが起こりうるとかデメリットもあるようで、決して簡単なことではないんだと思います。
ちなみに他に芯材をほとんど入れないメーカーは、
・Barenbrugge(バレンブルーギー)
・Bill Schick(ビル・シック)
・Dennis Searing(デニス・セアリング)
・Judd(ジャッド)
・Showman(ショーマン)
・Tim Scruggs(ティム・スクラグス)
などがいるようですが、やはり製作に時間がかかるためか、どこも年産本数は少ないです。今はほとんどのメーカーが芯材を入れているそうです。
この点、興味がある人はILCのLuckyさん(菱沼さん)のこちらの記事を読んでみてください。面白いです。
重さ、バランスポイントの平均値
サンプル一覧
Bill Schick(ビル・シック)
出典:ニューアート
重さ、バランスポイントの平均値
1本だけめちゃくちゃ軽いシャフトがありますが、これはかなりテーパーをいじってます。この下の写真ですが、上が83g、下が111.1gです。これだけ削れば軽くもなりますよね。トビは減ってスピンも乗りそうですが、パワーはだいぶ削がれてそうですね。
出典:ニューアート
サンプル一覧
Black Boar(ブラックボア)
出典:ニューアート
製作者はAnthony A. Sciannellaという人です。ブラックボアはプレイアビリティは超一流で、高級メーカーの中では随一の性能と評判です。
現在年産12本ぐらい、かつ超高級なので、簡単に手にすることはできませんが、いつかは撞いてみたいキューですね。
出典:ニューアート
重さ、バランスポイントの平均値
サンプル一覧
Blackcreek(ブラッククリーク)
出典:ニューアート
重さ、バランスポイントの平均値
サンプル一覧
Bludworth(ブラッドワース)
出典:ニューアート
重さ、バランスポイントの平均値
全体的にだいぶ前バランスです。上のブラッククリークもそうですし、このあともたくさんありますが、海外カスタムキューって案外前バランスのキューって多いんだなと思いました。
サンプル一覧
Blue Grass(ブルーグラス)
出典:ニューアート
重さ、バランスポイントの平均値
サンプル一覧
Bob Runde(ボブ・ランド)
出典:ニューアート
ショーンの創設者の1人であるボブ・ランド。やっぱりショーンに似てますよね。
重さ、バランスポイントの平均値
サンプル一覧
Capone(カポーン)
出典:ニューアート
重さ、バランスポイントの平均値
サンプル一覧
Cognoscenti(コグノセンティ)
出典:ニューアート
昔、CUE'Sでコグノセンティを見て、いつかこんなの欲しいなと思っていました。ただコグノセンティは2005年頃から品質が落ちたそうで、ILCでは取扱を中止しています。(詳しくはこちらのページの下の方)
どう品質が落ちたのかまでは書かれていませんが、たまに安いコグノが売ってたりもするので、製作年には注意したいですね。
重さ、バランスポイントの平均値
バランスはけっこうバラつきがありますね。
サンプル一覧
Coker(コーカー)
出典:ニューアート
Cokerは中古市場で安く売られているものがわりと多いので、なんでもいいからカスタムキューが欲しいという人には良いと思います。価格は公開されていませんので、どれとは言えませんが、ニューアートでは中古で4万円台のものもあります。
重さ、バランスポイントの平均値
サンプル一覧
Cris Hightower(クリス・ハイタワー)
出典:ニューアート
重さ、バランスポイントの平均値
サンプル一覧
Dan Dishaw(ダン・ディショー)
出典:ニューアート
重さ、バランスポイントの平均値
サンプル一覧
Dennis Searing(デニス・セアリング)
出典:ニューアート
日本での知名度は低いと思いますが、多くのカスタムキューを見てきたILCのLuckyさんが、キューづくりを始めるにあたって師匠に選んだのがセアリングです。最新のマシンを駆使したインレイ技術や接着、仕上げ、革巻きなどの技術はセアリングが世界一だと思うとLuckyさんは書いています。
また見た目だけでなく、性能も確かなようで、ジェレミー・ジョーンズがUSオープンで優勝した時に使っていたのがセアリングで、他にもスティーブ・ミゼラクやバディ・ホールなど、多くのプロのキューを手掛けたそうです。
セアリングはプレーヤーとしても一流で、プロツアーで2連勝(決勝はそれぞれコリー・デュエルとバディ・ホール)したほどだそうです。すごいですね!
たしか1,2年前に上の写真のキューがニューアートで売り出されていて、「幻の1本」と書かれているのを見て、「ふーん」としか思いませんでしたが、すごいキューだったんですね。
上のLuckyさんの2010年のブログ記事の時点で、セアリングが仕上げていたのが1995年のオーダーだったそうなので、今からオーダーして入手することは不可能でしょうね。ものすごい掘り出し物だったんですね。
ちなみに上の記事でセアリングがショーンのキューをリペアしているエピソードが出てきますが、セアリング曰く、ショーンはとても良いキューだそうです。それを聞いただけで「ショーンいいかも。。」って思ってしまいましたww
重さ、バランスポイントの平均値
サンプル一覧
Diveney(ディヴィニー)
出典:ニューアート
ディヴィニーはバタフライデザインが多いですよね。あと上の3本目みたいなスニーキーピートスタイルのキューは比較的安価で、ヤフオクなんかでもよく見かけます。
重さ、バランスポイントの平均値
サンプル一覧
DP(デールペリー)
出典:ニューアート
重さ、バランスポイントの平均値
DPはステンレスカラーでユニロックというのもあって、かなり前バランスですね。
サンプル一覧
Edwin Reyes(エドウィン・レイズ)
出典:ニューアート
エドウィン・レイズはフィリピンのカスタムメーカーです。フィリピンキューというと粗悪なイメージがあるかもしれませんが、エドウィン・レイズはキュー製作をアメリカで学んでいるため、そういう心配はないみたいですね。
フィリピンキューについては、「フィリピンキューって何がダメなの?全部ダメなの?」の記事に色々とまとめましたので、興味があればあわせて読んでください。
重さ、バランスポイントの平均値
サンプル一覧
Espiritu(エスピリチュ)
出典:ニューアート
重さ、バランスポイントの平均値
全体的に前バランスですが、1本目だけ異常に後ろバランスですね。依頼主のオーダーなのか、木がスカスカなのか、どっちなんでしょうね。
サンプル一覧
George Balaushka(ジョージ・バラブシュカ)
出典:ニューアート
言わずとしれた伝説のキューメーカー、プールキューの構造やテーパーを確立したのはジョージ・バラブシュカと言われます。
こんなことを言うと怒られるかもしれませんが、バラブシュカって今となってはデザインも古臭いし、コレクターが集める骨董品ぐらいにしか思っていなかったのですが、ILCのLuckyさん曰く、50年前に製作されたバラブシュカのキューが今でも史上最高の撞き味とキューメーカーがみんな言うそうです。(くわしくはこちら)
そんなことある?って思っちゃうんですが、多くのカスタムキューメーカーと交流のあるLuckyさんの言うことですから、本当だと思います。
重さ、バランスポイントの平均値
かなり後ろバランスですね。14山でステンレスカラーなので、普通ならもっと前バランスになってもおかしくないですが、バットの後ろ側がかなり重いんでしょうね。
サンプル一覧
Gilbert(ギルバート)
出典:ニューアート
重さ、バランスポイントの平均値
サンプル一覧
Gina(ジナ)
出典:ニューアート
Ginaは1961年創業し、73年で一時中断、その後88年にキュー製作を再開しています。73年までの作品は打感が硬く、シャフトの曲がりも多く、評判が良い現行モデルとは一線を画していたそうです。
1988年にキュー製作を再開し、92年に発表された最初のラインナップはまだコア構造になっていなくて、重さも21ozオーバーだったそうですが、94、5年にはほとんど芯材が入れられて軽量化されていったそうです。(詳しくはこちら)
Luckyさんはこちらの記事で、Ginaのアーニー・ギュテレスのことを不世出の大天才と言っています。デザインだけでなく、インレイ技術も構造もすべてがレベルが違い過ぎるそうです。
私の知り合いで、数年前にGinaを売り払ってREVOを買った人がいますが、絶対に手放すべきじゃなかったよなと思います。
重さ、バランスポイントの平均値
サンプル一覧
Gus Szamboti(ガス・ザンボッティ)
出典:ニューアート
バラブシュカと並ぶ巨匠ですが、パイロテッドジョイントを扱うキューメーカーが、撞き味が良いキューとしてバラブシュカの次に挙げるであろうとLuckyさんが言っているのがガス・ザンボッティです。(くわしくはこちら)
スペックを見ると、バラブシュカがかなり後ろバランスだったのに比べると、だいぶ前バランスですね。そしてやたらと重いです。昔のキューって感じですね。
重さ、バランスポイントの平均値
サンプル一覧
Harcek(ハーセック)
出典:ニューアート
重さ、バランスポイントの平均値
サンプル一覧
Jacoby(ジャコビー)
出典:ニューアート
ジャコビーというとターコイズやマラカイトなど色とりどりの貴石と、希少な銘木を複数組み合わせた派手なデザインが多いですね。
重さ、バランスポイントの平均値
サンプル一覧
JD(ジェイディー)
出典:ニューアート
フィリピンのカスタムキューです。フィリピンというとエドウィンレイズが有名ですが、それ以外のフィリピンキューってあまり良いイメージがない人が多いと思います。
ヤフオクなんかでたまにバールウッドがふんだんに使われた高そうなキューが5万とかで売ってますけど、あれフィリピンですよね。バールを使ったキューは普通そんなに安くないです。フィリピンキューはリングに段差があったり、塗装の品質が悪かったり、色々作りが粗悪みたいなんで、やめといたほうが良いと思います。かく言う僕も以前そんなことは知らずに手を出しかけましたけど。詳細不明とかなっているキューは要注意ですね。
フィリピンキューについては、「フィリピンキューって何がダメなの?全部ダメなの?」の記事に色々とまとめましたので、興味があればあわせて読んでください。
重さ、バランスポイントの平均値
サンプル一覧
Jensen(ジェンセン)
出典:ニューアート
重さ、バランスポイントの平均値
サンプル一覧
John Bender(ジョン・ベンダー)
出典:ニューアート
重さ、バランスポイントの平均値
John Guffey(ジョン・グーフィー)
出典:ニューアート
重さ、バランスポイントの平均値
サンプル一覧
Josey(ジョーシー)
出典:ニューアート
重さ、バランスポイントの平均値
重さとバランスにかなりのばらつきがありますね。
サンプル一覧
Josswest(ジョスウエスト)
出典:ニューアート
CNCマシーンを最初に取り入れたパイオニアとして知られるのがジョスウェストのビル・ストラウドです。GINAのアーニー・ギュテレスの師匠ですが、2人は犬猿の仲だそうです。(詳しくはこちら)
ジョスウェストは年代によって使うジョイントが変わっていったそうですが、Luckyさん曰く、1988~1992年のジョスウェストの打感が最高で、その頃の作品に使われているジョイントが14山の台形ネジ(下の画像)です。(詳しくはこちらとこちら)
出典:ニューアート
2020年にビル・ビルストラウドが亡くなったので、今後さらにジョスウェストの価値が上がるでしょうね。
重さ、バランスポイントの平均値
サンプル一覧
Judd(ジャッド)
出典:ニューアート
細くて長いハギと、スターバーストと呼ばれる星形のインレイが特徴です。あと3本目みたいなバーズアイがびっちり出たストレートもよく見かけますね。
重さ、バランスポイントの平均値
2本目だけやけに後ろバランスですが、他はだいたい前バランスですね。
サンプル一覧
Kent Davis(ケント・デイビス)
出典:ニューアート
Burl & Grain Custom Cuesのサイトで、アリエル・カーメリと同様に高性能と紹介されているのがケント・デイビスです。もともとカーメリにキュー作りを教わったそうですが、ケント・デイビスのキューは、
・ショット時のフィードバックが良く、甲高い打音
・使う木材に応じて、ジョイントピンや構造を変えることで性能のばらつきがない
・バットとの相性を考えて、テーパーを変えている
・ノーマルシャフトでもトビが少ない
という特徴があるそうです。カーメリ同様、こちらもバット+シャフトで性能を最適化しているんですね。とても気になっているメーカーです。興味がある人はBurl & Grain Custom Cuesのサイトをご覧ください。入荷や在庫の情報はフェイスブックにアップされます。
重さ、バランスポイントの平均値
サンプル一覧
Kersenbrock(カーセンブロック)
出典:ニューアート
カーセンブロックがサウスウェストのジェリー・フランクリンの師匠であることは有名だと思います。
カーセンブロックはテーパーも打感も1本1本全く違っていて、1バット3シャフトのキューで、シャフトが3本とも違うなんてこともあるそうです。(くわしくはこちら)
カーセンブロックはベトナム戦争で精神を病んでしまったらしく、その影響なのか下の画像のような、謎のデザインが多いのも特徴です。
出典:ニューアート
画像は貼れませんが、こちらのキューのようなとんでもないデザインのものもあります。
重さ、バランスポイントの平均値
以下の数字だけを見ても、全部スペックが異なるというのはわかりませんが、4本目のキューを除き、全体的に後ろバランスのキューが多いですね。ここはサウスウェストと似ているように思います。
サンプル一覧
Kikel(キケル)
出典:ニューアート
重さ、バランスポイントの平均値
サンプル一覧
Lambros(ランブロス)
出典:ニューアート
ランブロスはジョイントまで届きそうな長いハギと、ウルトラジョイントという一体感を追求した特殊ジョイントが特徴です。
出典:ニューアート
重さ、バランスポイントの平均値
2番目のサンプルだけ異常に後ろバランスですが、軽いシャフト2本は先角径10.8mmと11.2mmという驚愕の細さなので、そのせいだと思います。あとこれだけウルトラジョイントになる前の10山のものですね。製作年によって性能が全然違うメーカーもあるようなので、カスタムキュー選びは難しいですね。
サンプル一覧
Layani(ライアニー)
出典:ニューアート
重さ、バランスポイントの平均値
サンプル一覧
Manzino(マンジーノ)
出典:ニューアート
重さ、バランスポイントの平均値
サンプル一覧
McDaniel(マクダニエル)
出典:ニューアート
重さ、バランスポイントの平均値
サンプル一覧
McWorter(マクウォーター)
出典:ニューアート
重さ、バランスポイントの平均値
サンプル一覧
Mike Bender(マイク・ベンダー)
出典:ニューアート
マイク・ベンダーはもともとオメガDPKでカーセンブロックに教えてもらいながらキュー作りをして、後に独立した人です。
重さ、バランスポイントの平均値
サンプル一覧
Mike Sigel(マイク シーゲル)
出典:ニューアート
重さ、バランスポイントの平均値
サンプル一覧
Ned Morris(ネッドモリス)
出典:ニューアート
重さ、バランスポイントの平均値
サンプル一覧
Nitti(ニッティ)
出典:ニューアート
重さ、バランスポイントの平均値
サンプル一覧
OMEGA/DPK(オメガ/DPK)
出典:ニューアート
オメガDPKは上でも登場したマイク・ベンダーとカーセンブロックが共同製作していたキューで、マイクはストレートや5剣がメイン、カーセンブロックが複雑なデザインのキューを担当していたそうです。
上の画像は比較的シンプルなデザインが多いですが、カーセンブロックが手掛けたと思われるものでは、このキューのような超個性的で超絶技巧満載のキューもあります。
重さ、バランスポイントの平均値
サンプル一覧
Omen(オーメン)
出典:ニューアート
OMEN、素晴らしいキューです。上の画像、1本目は僕のOMENです。詳しくはこちらの記事をご覧ください!
重さ、バランスポイントの平均値
サンプル一覧
Padgett(パジェット)
出典:ニューアート
重さ、バランスポイントの平均値
サンプル一覧
Paul Huebler(ポール・ヒューブラー)
出典:ニューアート
重さ、バランスポイントの平均値
サンプル一覧
Paul Mottey(ポール・モッティ)
出典:ニューアート
重さ、バランスポイントの平均値
全体的にかなり後ろバランスですが、4番目のキューは14山でステンレスカラーなのに、この中でもっとも後ろバランスです。
サンプル一覧
PFD(ポール・ドレクスラー)
出典:ニューアート
重さ、バランスポイントの平均値
ステンレスカラーでユニロックのものが多いので、かなり前バランスになっています。
サンプル一覧
Phillippi(フィリッピ)
出典:ニューアート
重さ、バランスポイントの平均値
Prather(プレーサー)
出典:ニューアート
重さ、バランスポイントの平均値
サンプル一覧
Prewitt (プルーイット)
出典:ニューアート
重さ、バランスポイントの平均値
サンプル一覧
Richard Black(リチャード・ブラック)
出典:ニューアート
じゃじゃ馬と呼ばれることが多いリチャード・ブラック、けっこう後ろバランスなんですね。
重さ、バランスポイントの平均値
サンプル一覧
Richard Chudy(リチャード・チュディ)
出典:ニューアート
片側だけにベニヤが入った片ハギ(下画像)が特徴ですが、上の3本目みたいな超ゴージャスなキューも作ってます。
片ハギ 出典:ニューアート
重さ、バランスポイントの平均値
デザインも色々あるからか、重さやバランスもけっこうばらつきがありますね。
サンプル一覧
Robinson (ロビンソン)
出典:ニューアート
ロビンソンはシャフト側がオスネジになっている逆ネジジョイントが特徴です。打感はソリッドみたいです。
出典:ニューアート
重さ、バランスポイントの平均値
サンプル一覧
Samsara(サムサラ)
出典:ニューアート
スワールやスパイダーウェブなど、曲線が入り組んだ超個性的なデザインが特徴のサムサラです。
複雑な組み木の部分は手作業ですが、最新のマシンで省力化できるところは徹底的に省力化し、安いモノは1000ドル程度というカスタムキューとは思えない価格で提供している超優良メーカーです。
重さ、バランスポイントの平均値
サンプル一覧
Schon SP(ショーンスペシャル)
出典:ニューアート
重さ、バランスポイントの平均値
サンプル一覧
Schrager(シュレーガー)
出典:ニューアート
ジョージ・バラブシュカ、ガス・ザンボッティと並んで三大巨匠と称されるシュレーガーです。
重さ、バランスポイントの平均値
重く、前バランスのものが多いですね。
サンプル一覧
Showman(ショーマン)
出典:ニューアート
バラブシュカやガス・ザンボッティのオールドスタイルに啓蒙され、キューメーカーになったというショーマン、デザインもオールドスタイルですが、構造的にも芯材を入れない昔ながらの作り方で作られています。
重さ、バランスポイントの平均値
サンプル一覧
South West(サウスウエスト)
出典:ニューアート
サウスウェストというメーカーは1982年に創業し、現在もキュー製作を続けていますが、作者のジェリー・フランクリンが1996年に亡くなっているため、以降は親族が看板を引き継いでいます。
40年の歴史があるサウスウェストですが、撞き味が良いと評価されているのは、現行のものではなく1996年以前のもの、つまりジェリー・フランクリンが製作したもので、中でもILCのLuckyさんが高く評価しているのは1987年~1992年のものだそうです。(くわしくはこちら)
それより前の初期のサウスウェストは腰が弱く、しなるキューだったのが、80年代半ば頃からソリッドになってきたそうです。この頃から92年頃までは赤木っぽいシャフトが付いてきたそうです。
他のメーカーでもそうだと思うのですが、時代によってスペックや製法を変えたりもするでしょうから、製作年による良し悪しはあるのでしょうね。せっかく手に入れるなら、良い時代のものを買いたいですね。
重さ、バランスポイントの平均値
師匠のカーセンブロックの影響なのかわかりませんが、サウスウェストはカーセンブロック同様、後ろバランスよりのものが多いですね。
サンプル一覧
Tad(タッド)
出典:ニューアート
引きが切れるとかよく言われるTadですが、昔のTadは柔らかいものから硬いものまで1本1本全部違ったそうです。それが1992,3年頃にバットにコアを入れるようになり、1994年頃からテーパーは現行のものとだいたい同じになり、今のTadは一定の撞き味の幅に入るキューになっているそうです。
Tadはよく扱いが難しいとか言われますが、現行のTadはそんなことはないようですね。
重さ、バランスポイントの平均値
Tadはステンレスカラーで18山というイメージでしたが、最近のものは樹脂カラーや12山なんてのもあるんですね。どちらも2020年製です。いずれにしろかなり前バランスです。
サンプル一覧
Tascarella(タスカレラ)
出典:ニューアート
重さ、バランスポイントの平均値
サンプル一覧
Ted Harris(テッド・ハリス)
出典:ニューアート
重さ、バランスポイントの平均値
サンプル一覧
Thomas Wayne(トーマス・ウエイン)
出典:ニューアート
重さ、バランスポイントの平均値
サンプル一覧
Tim Scruggs(ティム・スクラグス)
出典:ニューアート
重さ、バランスポイントの平均値
サンプル一覧
TONKIN(トンキン)
出典:ニューアート
もはやキューというか美術品ですね。デザインばかりに目がいきますが、パープルハートコアのフォアアーム、8分割ラミネートのグリップなどキュー切れやフィードバックなどにこだわった構造になっているようです。(くわしくはこちら)
重さ、バランスポイントの平均値
サンプル一覧
Treadway(トレッドウェイ)
出典:ニューアート
重さ、バランスポイントの平均値
サンプル一覧
Zac(ザック)
出典:ニューアート
重さ、バランスポイントの平均値
Zen(ゼン)
出典:ニューアート
羅立文Pが使っているZenです。ラーメンどんぶりみたいなリングデザインが特徴ですね。
出典:ニューアート
重さ、バランスポイントの平均値
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Zinzola(ジンゾーラ)
出典:ニューアート
重さ、バランスポイントの平均値
サンプル一覧
ILC
出典:ニューアート
このあと紹介する9HeartsはLuckyさんの息子さんが作っていますが、ILCはLuckyさん本人作で、基本的に一本物なので、9Heartsよりは価格も上がります。テーパーも同じものがないそうです。Luckyさんのブログを隅から隅まで読みましたが、キューのことを熟知していて、素材から構造から何から何までこだわり抜いているのがわかります。
そして9Heartsとの一番の違い(と僕が思う)はILCはシャフトにAbe Rich(エーブ・リッチ)という非常に古い材を使っていることです。50年以上、もしかしたら100年?!もの間、自然乾燥された骨のように硬いメープルだそうです。
ちなみにILCではこのAbe Richシャフトを使って、黄金期のサウスウェストのソリッドな打感をイメージした「撞楽(DOURAKU)」というシリーズを作っています。めっちゃ欲しいです。
重さ、バランスポイントの平均値
サンプル一覧
Awaji(淡路)
出典:ニューアート
淡路亭のキューです。カスタムキューメーカーとは違うかもしれませんが、載せておきます。
重さ、バランスポイントの平均値
下のシャフトはすべて純正のハイテクシャフト(8分割と先端中空)です。サンプルは少ないですが、かなり後ろバランスなんですね。
サンプル一覧
OASIS(オアシス)
出典:ニューアート
東京小金井にあるSato Cue Repair Serviceのカスタムキューです。
重さ、バランスポイントの平均値
こちらはかなり前バランスですね。
サンプル一覧
Keith Andy(キースアンディ)
出典:ニューアート
日本では誰もが知っているブランドですね。ブレイクとジャンプのブラックジャックシリーズも人気です。
重さ、バランスポイントの平均値
色々なデザインのものがあるからか、スペックもバラバラですね。
サンプル一覧
SASAKI(ササキ)
出典:ニューアート
JPBFの佐々木浩Pが手掛けるカスタムキュー。キャロム用が多いですが、ポケット用も作っています。
重さ、バランスポイントの平均値
下のサンプルはどちらもポケット用です。
サンプル一覧
TⅡFactory
出典:ニューアート
重さ、バランスポイントの平均値
サンプル一覧
9Hearts
出典:ニューアート
ILCのLuckyさんの監修で、その息子さんが作っているキューが9Heartsです。シャフトは10年寝かせた重めのメープルを少しずつ削り出した超熟シャフトが標準装備されています。
重さ、バランスポイントの平均値
ILCサイトでも、バランスポイントは49cm~50cmを目指していると明記している通りで、ばらつきもほとんどないです。品質の高さがうかがえますね。ランブロスとは形状は違いますが、一体感を強くするためにウルトラジョイントを採用しているのも、Luckyさんの経験に基づいているんでしょうね。
出典:ニューアート
サンプル一覧
HAKU(ハク)
出典:ニューアート
革巻きなどで有名なリペアショップ マエストロのカスタムキューです。美術品ですね。
重さ、バランスポイントの平均値
全体的に前バランスに設計されていることがうかがえます。
サンプル一覧
早川工房
出典:ニューアート
個性的な木目のキューが多い早川工房、基本は前バランスのものが多いですが、シャフトもバットもウェイト調整できるので、好みのバランスにすることができますね。
重さ、バランスポイントの平均値
サンプル一覧
4.キュー選びで悩んでいる人へ|予算10万円で高性能のカスタムキューを買った話
色々書きましたが、やっぱりキュー選びって難しいと思います。値段が高いカスタムキューともなると、なおさらですよね。
もし悩んで決められないようなら、こちらの記事も参考にしてみてください。
全5話もありますが、僕が予算たった10万円で高性能のカスタムキューを買った話です。
5.まとめ
いかがでしたか?
自分好みのデザインのカスタムキューを見つけた時や、憧れのメーカーのカスタムキューがお手頃価格で売り出されているのを見つけた時、ついつい買ってしまったこと、買ってしまいそうになったことがある人は多いと思いますが、そんな時ってたぶん性能のことなんかあまり頭にないですよね。
でもそれってすごくリスクが高いことだと思います。
そんな時は冷静になって、本当にこのキューの性能は大丈夫なんだろうかって考えてみましょう。この記事がその助けになれば幸いです。
他にはこんな記事もありますので、興味があればご覧ください。
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